クロールをすると肩が痛い
半年間かけて、四十肩・五十肩を克服された患者さんのレポートです。
趣味で楽しんでいるトライアスロンの練習を再開できたのですが、唯一の不安がクロールでの肩の痛みです。
当院で施術を受けられた患者さん(47才男性)の一例です。
<症例>
半年間をかけて肩の痛みは90%位無くなり、トライアスロンの練習を再開しました。
当初はランやバイクでも肩の張りから痛みがありましたが、だいぶ慣れてきました。
現在はスイムのクロールの時に振りかぶった時に肩の痛みを感じます。
でも楽しいので痛くとも我慢して練習していました。
日常では特にシャツやジャケットの着脱は気を付けています。
両手を挙げるような万歳の姿勢をすると、痛い側だけ真っ直ぐに上がりづらいです。
1日も早く積極的な練習をしたくて来院されました。
<初診時の症状>
➀特定の腕の動きで肩の痛みが出る。
➁肩甲骨の外側の筋肉に強いはりがある。
③肩の前まわしに不安が残る。
④二の腕を挙上する時、耳に着くように真っすぐ上がらず外側に逃げる。
<施術後の経過>
カイロプラクティクの施術は、四十肩・五十肩の症状で残っていたと思われる肩甲骨の外側の筋肉をはじめ、腕・肩周囲の筋肉をほぐしていきました。(四十肩・五十肩の回復期)
また同時にクロールをするのに必要な筋肉のスムーズな働きを妨げていると思われる肩や肩甲骨、背骨の関節の動きの悪さを、スムーズにするような施術を行っていきました。
肘を後方に振りかぶる角度が一番困難ですが、それでも万歳のような腕の挙上は3度目の施術で耳に付く辺りまで回復されました。その後5回目の施術中、肘の後方への振りかぶりが徐々に可能になってきました。
水中では肩甲骨周りを極力リラックスして回旋できれば、痛みはほぼ無くなりましたが、手や肘主体でクロールをすると肩回りのつっぱりと痛みがでます。よってクロールの積極的な動作をするには不安があるようなので、それ以降の施術は出来るだけ肩甲骨の外側に負担が集中しないようにケアを行っています。
<担当カイロプラクターのコメント>
今回の痛みは、四十肩・五十肩の回復期に伴う肩甲骨の外側の変化が遅れていたことが挙げられます。
これらは、深い場所にある筋肉群で、複雑でもあることから変化にも手間がかかる部位です。
特にクロールは肩甲骨と肩、腕のしなやかな動作が重要ですので、肩甲骨の外側は速やかな変化が求められます。
また、肩の痛みがありながらも我慢して練習を続けてしまったことは、周囲がその筋肉をかばって動きを制限させ、
改善スピードを遅くしてしまった原因になったと思われます。
全てに共通しますが、痛みがあって練習を続けてしまった時に2次的な問題が生じてしまうことが多いですので、
体に何か不具合がある場合には、早めにご相談ください。
😛 四十肩・五十肩 ノート 😀
<解説>
肩関節周辺の組織に変性が起こり、生じた炎症によって痛みが起こる「肩関節周囲炎」のことです。 昨今では30代後半から発症するケースもあります。原因は色々ありますが、肩関節周囲の問題の総称として四十肩・五十肩と呼んでおります。
今回は肩の痛みの時期による解説・対応を紹介したいと思います。
大きく分けて3つの時期があり、それぞれに時期により対処法が異なります。
- 突然つよい痛みが発生し、ある程度は動かせる急性期
- 痛みのピークは越えるが、肩の動きが制限される慢性期
- 痛みもかなり少なく、徐々に肩の動きが戻ってくる回復期
急性期(痛みの出現~1ヶ月)
四十肩・五十肩の中で痛みが1番強い期間になります。
この時期の痛みは、動かしていない時ほど(安静時や睡眠中までも)痛みを感じます。
肩の関節に炎症がおきていることにより発痛していると考えられています。
ある程度動きはとれますが、無理には動かさないことが賢明です。
痛みがあまりにも強い場合は、医療機関でのステロイド注射などで対応することが一般的に多いようです。
この時期は、肩の何らかの組織に損傷や硬さ(石灰化など)が起こっていると推測できる。
そのため、無理に動かすことで痛みが悪化することもあるので運動・動作は注意してください。
また睡眠時の辛さを訴える方も多いです。
慢性期(1ヶ月~6ヶ月程度)
痛みはピークを迎えて、徐々にゆったりと痛みが減少してきます。
炎症状態が落ち着いてきていると推測します。
一方で肩の関節に炎症を伴っていた『急性期』から筋肉や腱、靭帯、更に関節包(関節の間にあるクッションのような働きをするもの)と滑液包(筋肉などの間にあるクッションのようなもの)が、固まってしまう状態である『慢性期』に突入していきます。
肩を動かさなければ痛みは出ませんし、多少の動きでは痛みになりません。しかしながらある角度からは痛みがでるので、知らず知らずのうちに肩を動かさなくなります。するとますます肩回りが固まっていく傾向になります。
よって肩の可動域を少しづつ高めるために、肩を動かすための施術や運動などを取り入れて可動域を戻していきます。
回復期
可動性がかなり回復し、痛みはほとんどなくなっています。
しかし不意の動作時の痛みや肩の最大域における引っかかりがあるため完全ではありませんが、生活には支障がない程度です。
ほとんど痛みもなくなってますので、肩をしっかりと大きな範囲で動かしていくことが重要になります。
痛かったことの記憶などで恐怖感が残っている方も多いので、ストレッチなど取り入れて自ら動かし最終域の範囲を広げていくが最大の目的です。